MMP雑誌表紙写真日本医療企画発行 月刊「MMP」1997/7月号
 

 
 
 
NETWORK NOW 「マネジメントをキーワードに多彩な人材が集う会に」

多彩な職種集まり研究会発足

 目下、国会では、健保法等の一部改正案が衆議院を通過し、参議院議決という最終局面を迎えようとしている。医療財政の再建をめざす制度改革は、着実に進んでいる。
 この医業環境の激動期に、病院マネジメントをテーマとし、病院経営者、事務管理者、医療関連業者等が集う、任意団体がひとつ誕生した。ホスピタルマネジメント研究会である。
 同研究会は、ここ2年間、やはり医療界、関連業界の有志によって開催されてきたホスピタルアメニティ研究会が発展的に解消したもの。首都圏での年5回の勉強会開催と年1回の地方例会開催が、現時点で定められた会の概要だ。
 研究会の発足趣意には、「共存共栄から競合競争の社会へと環境が移り変わるなか、病医院にとって問われるのは、“マネジメント”の卓越性」と、たわれている。
 マネジメントをキーワードとしたことで、会員対象者の間口が幅広くなった。病院関係者では、理事長、院長、事務長、人事部長、医事課長等々が参加。他業界との交流も目的の一つとし、会員には業者も加わる。このような顔触れの集まりは、医療界ではかなり珍しいことだ。

会員一人ひとりが オンステージマインドで

 5月24日には、第1回目の研究会を、法人会員のテルモ(株)本社で開催、会員、当日参加者合わせて47名が出席した。
 開会にあたり、発起人の一人であり、研究会事務局を務める長谷川均氏(医療法人真正会事務局長)が会の趣旨を説明。「今までにない、新しいマネジメントを生み出す会にしたい。ただ定期的に集まるのではなく、 会員一人ひとりが“オンステージマインド”で主体的に会に関わってほしい」と強調した。また研究会の統 一テーマとして、患者満足度や、科学的根拠に基づくマネジメント等の問題に取り組むことを確認。
 同研究会は、多くの事務長会のように母体となる団体はないし、役員も置かないことにしている。同研究会への参加は、あくまで会員個人の意志によるものであり、研究会の活動を決めるのは会員各自、という方針で、この点もユニークだ。急増する医療費負担の公平性が求められる中、当日は、鴇田忠彦氏(一橋大学教授)による講演『日本の医療費の将来推計(保険別診療行為の医療費分析)』と、木村憲洋氏(医財)神尾記念病院情報管理室研究員)による実践報告『患者満足度調査を実践して』が行われた。医療経営のマクロ面とミクロ面、理論編と実務編といった感があり、ユニークな取り合わせであった。
 鴇田氏は、国民医療費、医療費の世代間負担等に関する、氏の将来推計を披露した。
 氏は、2025年までに、医療費は年率2.8%で上昇し、同年に約50兆円になると推計。これに対して65歳以上の入院医療費は年率4.0%、外来医療費は4.1%と、急速に伸びると推計した上で、「経済の低成長下で、国民の医療費に対する負担感は強まる」と指摘。 
 そして、現役世代(15〜64歳)の負担について、1993年の数字と、2025年推計を比較し、約23万円が69万円と約3倍に増え、しかも被扶養世帯 に対する負担は約4倍にもなるとの推論を発表した。「今回の健保法改正では老人医療費の定率負担は見送られる見通しだが、これが正しかったのか、よく考えるべき。組合健保の幾つかは破産寸前。将来、医療制度そのものが破綻することも考えられるなか、今、負担の不公平感を是正する改革が求められる」との持論を述べた。

患者応対のよい医師・悪い医師 明確に示したアンケート調査

 続いて、木村氏が自院で平成6年から、入院患者に対して行っているアンケート調査の結果報告をした。 患者満足を医療理念の一つに掲げる同院は、患者の評価を得る方法としてアンケートを実施。結果は月1回 レポートにまとめられ医局会と主任クラス以上の所属する運営委員会で報告されるという。
 病院経営ではリピーターが特に重要と言われる。「次回も当病院で診療を受けたいか」との問いも、「受けたい」と答えた人が今年2月の調査では76%であったがむしろ、「24%が、受けたいと思っていないことのほうがショックだった」と木村氏。
 また、医師別の評価集計では、患者への応対が悪い医師、あたりのいい医師が、数字にはっきりとあらわれており、会場も興味を示した。「結果は給与にもフイードバックされる」との木村氏の説明に、「院長の評価は出しているのか」と、質問もあがった。

 同研究会の目的の一つに、「若手の育成がある。「勉強会は若手の業績の発表の場でもある。病院業界の型にはまらない人物に意見を出してもらい、活発な討論となることを期待する」と長谷川氏。今回発表した木村氏も期待される若手の一人だ。
 高度消費社会のなかで育ってきた 若い世代は、確かに、消費マインドを代表していると言ってもいい。若手にも大きく門戸を開くホスピタルマネジメント研究会の今後の成果が楽しみだ。